tsr-xyのブログ

チラ裏、メモ代わりにカキコ

Webで見つけたものにコメント

融通が効く懐深さこそ伝統

その中で、嫡出子と婚外子に人間としての価値の軽重を図るのは制度上、人権問題とバッティングするのは自明なので、夫婦別姓問題や離婚後三百日問題といった別の家族制ジレンマとセットで問題となるのでありましょう。要するに、女性の社会進出が進めば「婚姻に頼って専業主婦となり女性は家を守るのである」的な価値観は想定的なものとなって、家長とか大黒柱などといった古き良き(良いのか知らんが)日本の伝統とは無縁の社会問題ばかりが引き起こされるという話です。

 この問題には全員が納得する解決など当然あるはずもないので、政治がある程度線引きをするのは当然であるとしても、この自民党のいう日本の伝統的な家族制度というのがそもそも何で、婚外子の遺産相続の差別をなくすことがどうして家族制度を崩壊させるとするのか、良く分からんのですね。結婚へのインセンティブを高めよう、それに伴う出生率の向上や希望する女性の社会進出を進めて弾力性のある家族制度を作ろうというのなら分かりますが、ちらちらと本件調べて考えても何が問題なのかいまひとつピンと来ないのであります。

日本の伝統的な家族制度って、いつからの伝統なんだろう: やまもといちろうBLOG(ブログ)

 

保守的な立場の人は伝統という言葉が好きだ。だが日本の伝統とは何だろう。簡単に歴史を振り返っても、平安ー鎌倉ー南北朝ー室町ー戦国ー安土桃山ー江戸ー明治維新後ー戦時体制ー戦後、とそれぞれ社会は大きく変化し家族のあり方も大きく違う。

また、よく言われることだが、日本が表面的にせよ均一的な社会になったのはそれほど古くなく、大甘にいって明治維新後後。つまりは200年すら立っていない。2700年とも言われる我が国の歴史からすると伝統というには気が引けるレベルで、最近のことだから昔からこうだったと思い込んでいるだけ。

家族のあり方にせよ、武士階級であっても惣領とも言われる長子相続などは、関東武士に関して言えば戦国半ば以降に支配階級の戦国大名化の進展に伴い広まっただけで、それまでは兄弟間の分割相続が一般的だった。

戦国大名にあっても上杉謙信ならびに上杉景勝のように二代つづけて養子相続も珍しくないし、徳川家康は自害した長男以外は跡取りの秀忠含め男子はいずれも正妻の子ではないし、秀忠には兄(秀康)すら存在していたが跡取りになった。

やんごとなき方々の男子相続に関する「べき論」を社会一般に当てはめるのはやめた方がいい。なにも自ら進んで足枷をはめる必要はない。

なにかと融通が効く懐の深い社会ことしぶとい社会であり、そうした社会こそが他に誇る伝統を築くに足る時間を与えてくれると思う。